アート プロムナード

彫刻のご紹介はこちら千里朝日阪急ビル アート プロムナード

2022年4月

●作者名
ベルティ−ユ・ドゥ・ボーディニエール

作品タイトル:Green Earth

© ベルティ−ユ・ドゥ・ボーディニエール

●作品コメント

「Green Earth 00 01」は、私たちが住む地球という星を幅広く視覚的に探求する試みです。

 十三歳のころから描いてきた風景のすべてを振り返ってみると、「地球」に本格的に取り組むようになったのは、1985年の東京でのことだったとわかります。そのころ通っていた東京藝術大学の近く、谷中という下町で、金開堂という小さな店を見つけました。今でもあるその店には、ありとあらゆる種類の日本画の絵の具がそろっていました。緑色の絵の具「緑土」に、私は夢中になりました。日本にあふれている自然を象徴する色だと思ったのです。

 その時期に、私は緑土と墨汁にカゼインを混ぜて絵の具にして、「Green Earth」という単一色の連作画を製作しました。


 1986年から1990年にかけてはパリと高槻と東京に、2008年から2012年にかけてはニューヨークで暮らして見つめているなかで、地球は変化していき、私たちと地球の関係も変化していきましたーーデジタル化し、孤立するのでなく接続されていきますが、同時に圧倒的な環境破壊のもたらす影響によって弱くなってもいます。

 私たちはまた、どうやって人間の尊厳を守るのかという問題に直面するようにもなっています。国家と国家のあいだで紛争が起こるとき、芸術家による表現は連帯を訴えます。

 2012年から、私は地球それ自体を画材として使っています。さまざまな大陸、さまざまな国から採ってきた多くの色を使って、団結を表現するとともに、ラスコーの壁画とのつながりも表現しています。数百万年にわたって、土と人間は切っても切れない仲だったのです。

 「Green Earth 00 01」は、2015年に東京のギャラリー戸村で最初に展示されました。2006年、ギャラリー戸村での個展のために製作した「Blue Earth 00 01」に続く作品となります。ピクセルのように組み合わせた正方形の上に、さまざまな国の土を使った絵の具で描き、怒れる緑色の海原がそれを囲んでいます。

ベルティーユ・ドゥ・ボーディニエール

2022年3月12日、パリにて

●略歴

1955年(昭和30年)フランス、サン・マロに生まれる。1982年(昭和57年)Ecole Nationale Supérieure des Beaux- Arts de Paris (ENSBA) 絵画学部修士課程を優等で卒業 卒業論文はJean Bertholle, Olivier Debré教授に師事 1983(昭和58-60年) パリ、Fondation des Etats-Unis, Cité Internationale Universitaire -1985年 芸術家として在席 1986年(昭和61年) 文部省西洋絵画部門の奨学金を受け東京藝術大学在学 1990年(平成2年) 東京藝術大学大学院修士課程終了(坂本一道教授に師事) 1990年(平成2年) 米国ネブラスカ州オマハ市Bemis Center for Contemporary Arts 芸術家として在籍 1993年(平成5年) フランスへ帰国 2009-2012年(平成21-24年) ニューヨークにて活動
2012年-(平成24年-)現在はパリおよび米国ロング・アイランド・シティにて活動

バックナンバー一覧へ