アート プロムナード

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2022年7月

●作者名
稲垣智子

作品タイトル:私は嘘をつく

© 稲垣智子

●作品コメント

私はこの社会を生き、生活をするものとして、作品を通して現在の状況に問いを投げかけ、観客の潜在的な不安を目覚めさせることによって、世界を見つめ直すきっかけになればと考えています。真実と嘘、自然と人工、オリジナルとコピー、二項対立にあったり、はっきりした区別を持つように見えるものを並べ、その境界を揺るがし、綻ばせることによって、見るものの心をざわつかせ違和感を作り出します。
展示する作品は鏡と写真によって作られた作品です。一見、全てが割れた鏡でできているように見えます。しかしよく見ると、鏡と写真(割れた鏡の写真)が合わせ鏡のように配され、片方の鏡の反映によって、両方が鏡でできており割れているかのような錯覚を持ちます。
この作品はシリーズで、もう一つ隣に展示されています。どのように映っているのかご自身で実際に見て、感じ、考えていただけたらと思います。
私たちは社会に起こるさまざまな事象を判断し、自分なりの意見を持って過ごしています。その中で、情報によって新たな知見を得て、真実を知ることもあります。しかし、時には情報によって惑わされ、見誤ることもあります。人もまた世の中を移す鏡です、私たちは社会を反映し、真実を映し出し、時には遠ざかります。真実と虚構の中で見極めることがいつの時代も重要です。この場にふさわしい作品だと思い展示に選びました。

●略歴

1975年生まれ、大阪、神戸在住。英国ミドルセックス大学で美術を学び、大阪大学アート・メディア論にて修士取得。ロンドン留学後日本帰国。国内を含め、ドイツ、フランス、アメリカにてアーティスト・イン・レジデンスを行う。作品は、生と死、自然と人工、そして男女などの一見相反するものを挙げ、その境界を混濁し模索するものがある。使用メディアは主にビデオインスタレーション。作品には人物が起用され、パフォーマンス的要素が含まれることが多い。近年の個展は、CAS(大阪/2021)、The Third Gallery Aya(大阪/2020)、Art-U room(東京/2017)、FRISE(ハンブルク/2021)。その他には、川久ミュージアム(和歌山/2022)、国際カサブランカビエンナーレ(モロッコ/2017)、WROUGHT(シェフィールド/2016)、京都市美術館(2013)など。

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